〈7〉【おばけの絵本】

2012年10月13日(土)2時~4時にキッズ・ブック・スペース【おばけの絵本】を開催しました。

イベントの多い月なので予定が入ってしまったレギュラーの方も多く、どうなることかと思いましたが、4~5歳の子ども達とお母さんの参加で、少人数ながらも盛り上げていただきました。

参加者の中には、テーマが決まった時点で「参加したいけれど、おばけや夜が出てくる絵本が苦手で」という方もいらっしゃいました。

そこで、おばけが怖くても参加できて、怖いものがあることの大切さ、怖い本を読んであげる大人の役割を知ってもらえるようなプログラムにしてみました。

■親子の時間■

いつものように♪はじまるよ♪の歌をみんなで歌って始まりました。

お母さん方も、みんな一緒に手を動かしながら歌って参加してくださいました。

小学生でも、これをやるとみんな先生に注目するというだけあって、あっという間にきちんと座って手はおひざができました。

いつもは寝ぼけていてみんなに起こされるお猿のモンちゃんも、今日は座ってみんなを待っていました。

おばけの本はちょっと怖いけど、みんなと一緒に♪ととけっこう♪を歌って、元気になりました。

参加してくれたお友達も、二度目、三度目の参加なので、みんな上手に歌えるようになっていました。

 

 

ととけっこう よがあけた (わらべうたえほん)

「おばけの本は?」という強気の発言もありましたが、本当に大丈夫?

 

「おばけが怖い人いる?」本当にいない?

「おばけを見たことがある人は?」いないよねえ。

本当はおばけが怖い子も、みんな一緒だから大丈夫!

 

最初のおばけの絵本は、かわいいおばけがたくさん出てくる『おばけなんてないさ』。

「この歌知ってる?」と聞かれると「幼稚園で歌った!」という返事。

では、みんなで歌いながら見ていきましょう。

おばけなんてないさ (せなけいこのえ・ほ・ん)

 

♪おばけなんてないさ

 おばけなんてうそさ

 ねぼけたひとが みまちがえたのさ♪

 

3番までみんなで歌いましたが、本当は5番まである歌だったんですね。

おばけと友達になって、おやつを食べたり、連れて歩いたり。

 

「どう?もうおばけは怖くない?」

歌の2番で、本当におばけが出てきたらどうしたんだっけ?

冷蔵庫に入れて、かちかちにしちゃったね。

「アイスおばけになった~」

「おいしいかな?」

「食べたら、自分がおばけになっちゃう」

子どもは、想定外にいろいろ面白い発言をして、みんなを笑わせてくれます。

 

おばけも入っていた冷蔵庫から、野菜を持ってきました。

おばけみたいな野菜の絵本です。

やさいのおなか (幼児絵本シリーズ)

 

野菜の断面をシルエットにした絵が次々と出てきます。

 

「これな~んだ?」

「たまご!」「ハンバーグ!」「ウィンナ!」

正解は長ネギでした。色がついてないから難しいね。

 

「これは?タイヤかな?」

「レンコン!」

大正解!

 

「これはな~んだ?」

「スイカ!」「タクワン!」

ブッブー!タケノコでした。

 

「この野菜はな~んだ?」

「カニ!」「カニは野菜?」「野菜の中にカニが入ってる!」

 

何度も野菜!って言ってるのに、

「ウニ!」「梅干し!」

などユニークな答えが次々と飛び出し、大いに盛り上がりました。

 

『やさいのおなか』の表紙は、ハロウィンにも使われるカボチャでした。

今度は、カボチャの種をまいてみましょう。

 

自分のお母さんではない、よそのお母さんかスタッフのお姉さんとペアを組みます。

お母さんとは、おうちに帰ってからたくさん遊んでください。

 

♪せっせっせーの よいよいよい

 お寺のおしょうさんが

 カボチャの種をまきました

 

 芽が出て、ふくらんで、花が咲いたら、

 じゃんけんぼん!♪

 

勝った人は、負けた人におしおきができます。

 

♪一本橋こーちょこちょ

 たたいて つねって

 階段昇って こちょこちょ♪

 

二回戦とも負けてしまって、全然こちょこちょができなかったと落ち込む子が・・・

「仕方ない!先生にしていいよ」と言われ、

喜び勇んで♪一本橋こーちょこちょ♪と歌い、先生に思いっきりこちょこちょしてご機嫌になりました。

 

 

みんな気分が良くなったところで、おばけがいっぱい出てくる絵本です。

 

おばけがぞろぞろ (幼児絵本シリーズ)

 

木から出てきたおばけの”ぞぞまるちゃん”。

「もものりくん、あそびましょ」と次々とお友達おばけを誘いに行きます。

いろんな所から飛び出してきた、おかしな名前のおばけ達が最後に遊びに行ったのは、人間の子どもの家。

「しんごちゃん、あそぼ」

とおばけたちは声をかけたけれど・・・

「おばけの本もっと読んで!」

とおばけ嫌いのはずの女の子からリクエスト。

そんなにおばけのおかわりして、大丈夫?

 

では、リクエストにお応えして、『おばけだぞぉー!』

 

毎晩12時、箱の中から起きてくるおばけのパコーム。

おばけだから、壁を通り抜けたり、消えたりできるし、暗闇だって怖くない!

でも、突然出てきたネズミには・・・

 

みんなもおばけごっこがしたければ、白いシーツを用意すればいいだけ。

シーツをかぶっておばけになったら、いつでもパコームと仲間たちが待っているお城に遊びに行けますよ。

 

 

おばけだぞぉー!

そろそろ親子の時間は終わりです。

みんなそれぞれに、モンちゃんとお別れします。

 

♪さよなら あんころもち

 また きなこ♪

 

向い合って両手をつないで、歌いながら上下に動かします。

最後に、ギュッと抱きしめたり、チュッとしたりしてお別れします。

 

朝、保育園や幼稚園で親子が別れる時や、

帰りに、先生やお友達とさよならする時によくやりますね。

園に通い初めの離れがたい子どもには、またすぐ会えるからね、という儀式になります。

 

■子どもの時間■

子ども達は、かぼちゃの形の紙に、目と鼻を貼って、パンプキンバッグを作りました。

裏に封筒を貼っただけの簡単なものですが、それぞれに絵を描いたり、折り紙でかぼちゃを作って貼ったり、個性的なパンプキンバッグができました。

折り紙のかぼちゃが気に入って、何色も作って顔や模様を描き込み、おみやげを増やす子もいました。

本人にとっては単なるかぼちゃではなく、独自の世界に入り込んでいるようです。

絵本を読んでもらった刺激で、いろいろな発想が出てくるのかもしれません。

折り紙のかぼちゃを貼って、周りに絵を描いた作品。

 

みんな、何個もかぼちゃを折ったので、どんどん上手に折ることができて、作り方も覚えてしまいました。

折り紙のかぼちゃは全部中に入れて持って帰る、という子は、好きな絵を描きました。

 

元の素材は同じなのに、出来上がりはみんなまったく違って、個性が出て面白いですね。

■大人の時間■

保護者向けには、おばけだけでなく、『目には見えない世界』をテーマにしたお話です。

 

定番中の定番『ねないこだれだ』は、年齢によって受け止め方が違う絵本です。

寝ない子がおばけと一緒に飛んでいって終わり、というラストは、「えー、これで終わり?戻ってこないの?」という怖さがあります。

物ごころついてから読んでもらった場合、トラウマとして残っている、という子もいます。

ねないこだれだ (いやだいやだの絵本 4)

 

けれど0~1歳の子ども達にとっては、大好きな絵本のひとつだそうです。

戻ってこない怖さなどはわからないので、言葉のリズムを喜んだり、自分の知っているものが出てくるのが嬉しいようです。

2~3歳になると、自分も連れて行かれたらどうしよう、という不安が芽生えます。

その場合には、お迎えに行ってあげるから大丈夫、などと安心させてあげてください。

 

「そんなことすると、おばけに連れて行かれるよ!」

などと脅しに使いたくなることもあるでしょうが、怖がらせたまま終わらないでください。

抱きしめたり、膝の上にのせてあげると、いつも自分は守られているという安心感が得られます。

怪談 小泉八雲のこわーい話〈2〉食人鬼・ムジナ・青柳ものがたり

 

日本にも海外にもおばけや妖怪のお話がたくさんあります。

目に見えないものは信じない、という現実的な考えもありますが、目に見えないものを信じることで想像力が刺激されます。

不安をあおる怖い話だけでなく、不思議な話、夢のある話など、現実には出会えない話をたくさん聞かせることで、頭の中にイメージの種を植え付けることができます。

それが、いずれ絵のない本を読むようになった時、自分だけの世界をふくらませる力になります。

めっきらもっきら どおんどん (こどものとも傑作集)

 

子どもながらの不思議な世界のお話に『めっきらもっきら どおんどん』があります。

遊び友達が見つからないかんたは、一人ででたらめな歌を歌いながら神社を歩いていました。

どどーっと風が吹き、歌にひかれた三人のおばけ達に誘われ、異世界で遊びます。

遊び疲れて「おかあさん」と呼ぶと、いつの間にか元の場所にいて、お母さんの呼ぶ声が聞こえます。

でたらめ歌の一部でもあるタイトルや、おばけの名前など、不思議なリズムの言葉にあふれたお話です。

行ったきりではなく、ちゃんとおかあさんのところに戻ってくるので、安心感もあります。

 

幼稚園の3歳児クラスでこの絵本を読んだ後、窓の外のどんよりとした曇り空を見上げたそうです。

そうすると、子ども達もみんなで真剣な顔で暗くなってきた空を見上げた様子が、お話の世界の余韻を残した雰囲気で印象的だったということです。

 

あれは夢だったのかな?、本当だったと思う?、などと聞いたりはしないで、余韻を残したまま本は閉じます。

子どもは何度も本をながめ、最後のページのかんたの部屋に、おばけ達と遊んだ時の物が描かれているのを見つけると、夢じゃなかったのかな・・・とそれぞれに想像することでしょう。

おやすみなさいフランシス (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

 

テーマ絵本の読み聞かせです。

寝る時間になっても、アナグマのフランシスは眠くありません。

夜の暗闇で、いろいろなものがトラや大男など怖いものに見えてしまい、お父さんに何かがいると訴えます。

お父さんは、フランシスの疑問や不安に一つひとつ丁寧に答えながら、不安を解消させたり、立ち向かわせたりします。

実際におばけが出てくるわけではありませんが、子どもが怖がるものに対して真面目に考えて問題を解決し、自分でどう対応したら良いか教えるフランシスのお父さんの態度に感心します。

 

長い絵本は、いきなり読み聞かせするのは難しく、子どもも受け止め切れない場合があります。それでも、その子に合った時期に、合った内容の絵本を読んであげたいものです。

『おやすみなさい フランシス』も、まだ難しいかな、と思ってしまい込んで忘れる前に、ぜひ読んであげてください。

 

かわいいキャラクターとしてのおばけや、異世界の妖怪などいろいろな世界を絵本で楽しんでください。

読んであげた時期によって、同じ本でも子どもの反応は変わるでしょう。

大人も、一緒に怖がったり、抱きしめて安心させたり、同じ世界に入って楽しんでください。

 

現実にはありえない世界をたくさん知ることで、文字だけの本を自分で読むようになった時、自分で思い描く空想の幅が広がり、物語世界に入り込むことができるようになります。